
Customer Profile
企業紹介
日本第一号となるプレミアム・アウトレットを御殿場に誕生させ、現在は全国10か所まで展開し、フラッグシップである御殿場プレミアム・アウトレットを中心に、日本に新しいショッピング文化を根付かせてきた会社です。
導入の背景や効果について、経営企画部 副部長の柿崎氏にお話を伺いました。(※役職名は取材当時のものです)
2000年の御殿場を皮切りに、今日まで国内で9施設を開発し出店余地が減り、新規開発のためのポテンシャルの高い地域を見つけづらくなってきていました。
また東京都内から御殿場へ長距離移動するといったアウトレットモール独特の顧客の動きを、商業施設で多用されている一般的なハフモデルでは再現できず、正確な売上予測が出来ていませんでした。
したがって土地の仕入れを担う部門も、運営を担う部門もお互いが主観を元にした売上予測値で議論するため、意見対立が多く、また最終的な意思決定までに時間がかかっていました。
以上のことから、客観的かつ正確な売上予測値によって、高ポテンシャル地域を素早く発見し、社内意思統一もスムーズにするためにAIを導入に至りました。
200店舗規模の大型施設ではなく、120店舗規模の中型施設の方が効率的とされる地域が特定され、土地仕入れ担当が能動的に地域を絞って動けるようになりました。
全国約1,800のインターチェンジ全てを評価するのは今までのハフモデルでは無理だったし精度も酷かった。今回の売上予測結果は、中長期的な事業の方向性まで導き出すための材料となりました。
批判が多かった会議は客観的な指標によって建設的になった。出すか出さないかの議論よりも、どうやったら最高のパフォーマンスを生む施設になるのかの議論が増え、会議の時間も大幅に削減されました。
売上推計モデルの構築は何度か経験してきましたが、ややもすると推定精度が低いモデルとなってしまいます。そんな中で、今回は実績精度の高いモデルができたというのが率直な感想です。
売上推計モデルのベースに機械学習を利用したことが大きな理由となっていると思います。これまでのような定常的に回帰性を重視していくアプローチでは通常に理論的な推計がなされるモデルになりがちですが、今回の推計結果ではそういった傾向が見られませんでした。
もう一つの空間的依存性を用いたモデル(ハフモデル)については私も長年研究してきましたが、これを売上推計そのもののではなく、既存店への影響の推計に利用するというアプローチも正しかったと思います。
くわえて、今回のプロジェクトでは二社間でディスカッションを重ねながらモデルを構築しました。お互いの得意分野を組み合わせることは期待の高いモデル構築につながったと思いますし、そのプロセスからもモデルに納得を得ることもできました。
また、モデルを評価するために様々なテストを実施してもらいましたが、予想以上に当てはまりが良く、モデルの品質に確信を持つことができました。
作成したモデルを使って全国のインターチェンジの売上ポテンシャルを推計した結果を見ても、勘や経験からは導き出せない意外な結果も見つかりました。
もちろん、この結果だけですべてを評価することは出来ませんが、日本国内でもまだまだプレミアム・アウトレットの開発余地はある、と言うことが分かったのは非常に明るい材料になると感じています。