アイウエア(眼鏡・コンタクトレンズ)の販売には、視力測定が必要なことから顧客と直接接触するための店舗販売が重要となります。矢野経済研究所のレポートによれば、市場規模はおよそ5000億円(2019)。市場全体ではゆっくりと縮小してゆく傾向にありますが、これまでの伝統的な小売方法から脱却し、ファションとしての「アイウエア」を提案することによて成長しているブランドなど多様化が進んでいる市場です。
商店街のメガネ店はすっかり姿を消してしまいました。その隙間を埋めるようにチェーンストア・ブランドが店舗網を拡大しています。30年前のコンビニエンス・ストアが市場へ浸透してゆく様子と似た現象が、アイウエア市場でも起こっています。初期のコンビニエンス・ストアは、酒店、雑貨店、たばこ販売店の店舗網に営業をかけ、業態を置き換えることによって拡大しました。
かつて、地方都市の旧市街地のアーケード商店街の老舗メガネ店では、メガネだけでなくルーペ、顕微鏡や望遠鏡など光学機器をとりあつかっていました。時計店と併設されるメガネ店もよく見かけました。このような商店街にもチェーン展開するアイウエアショップは、複数のブランド出店しています。
日本国内のメガネ人口はおよそ7000万人(メガネワールド調べ)。人口のほぼ半分の人たちがメガネを使用しています。流通ルートも多様化し、1,000円前後の商品であればコンビニエンス・ストアや書店、駅の売店、100円均一店でも販売されています。
市場全体の売上規模はダウントレンドですが、多様化するライフスタイルに新しいアイウエアの価値を提案しながら、チェーンストア・オペレーション(多店舗展開)によるスケールメリットを生かし成長しているアイウエア大手4社の概要です。
企業名 |
ブランド名 |
店舗数 |
売上 |
メガネトップ |
眼鏡市場 |
987 |
804億円(2020年) |
ジンズHD |
JINS |
623 |
602億円(2020年) |
三城HD |
パリミキ |
700 |
483億円(2020年) |
インターメスティック |
Zoff |
304 |
320億円(2019年) |
「眼鏡市場」のブランドで全国展開する株式会社メガネトップ(静岡県静岡市)は、路面店からショッピングセンターまで幅広い立地に出店しています。アイウエア市場で16%のシェアを誇るメガネトップの店舗網は、幅広い顧客層にリーチすることができる立地に出店しています。「眼鏡市場」の店舗網立地と類似するブランドをgleasinで調べてみると次のブランドとその出店傾向が似ていることがわかります。
共通する商圏内の居住者層は、Geodemo6.「中小企業ワーカー地区」Geodemo5.「メーカー勤務ファミリー地区」Geodemo7.「地方三世代地区」となります(下図)。Geodemo(ジオデモ)の詳細は、こちらを参照ください。
これらの居住者がよく利用するのは、郊外型ショッピングセンターやロードサイド立地などに出店しているブランドです。価格に敏感なセグメントとして知られていますが、日本のマジョリティでもあります。「眼鏡市場」のあるところに高い確率で見つけることができるブランドが「すき家」「丸亀製麺」「UNIQLO」となります。これらのブランドに共通しているポイントは2つあります。
価格と品質のバランスをベースに、様々な顧客層に合わせた立地最適な品揃え提案、接客ができる「オペレーション力・顧客提案力」によって成長しているブランドです。
「眼鏡市場」や「パリミキ」は、メーカから仕入れて販売する伝統的な小売業スタイルのため、「顧客提案力」はメーカーに依存してしまいます。顧客提案力を企画・製造・販売まで垂直統合し競争優位を実現するビジネスモデルがSPA(製造小売)です。
自社で企画・製造・販売を手がけるSPA(製造小売)は、独自の世界観を顧客に届けることができ競合他社がマネできないブランド力を築くことができる可能性のあるビジネスモデルです。衣料品ではUNIQLO、ZARA、雑貨・物販ではMUJIなどがその典型です。
アイウエア市場では、株式会社ジンズホールディングス(東京都千代田区)の「JINS」や株式会社インターメスティック(東京都港区)の「Zoff」がSPA展開し成長しています。特に製品のデザインと世界観、店舗立地などの顧客接点を自由度高く設計できるビジネスモデルは、オムニチャネル・顧客情報を活用したデジタルマーケティングでブランド力を高めることが期待できます。
Zoff(255店舗)例にその店舗分布からどんなターゲット顧客を想定しているか、gleasinを使うとワンクリックで調べることができます(下図)。
Geodemo2.「富裕層ファミリー地区」に多く出店していることがわかります。
同じような出店傾向のブランドとしては「ABC クッキングスタジオ」(122店舗)「GODIVA」(292店舗)が該当します。Gedemo2. 「富裕層ファミリー地区」の居住者は、都心への通勤・通学にアクセスよい駅周辺に住んでおり、普段はターミナル駅周辺の商業施設を利用する傾向があります。
ジオマーケティングがこれまで実施してきた調査の結果を踏まえると一般的に、Geodemo2のセグメントは自宅や通勤・通学途中の電車の中でスマホ経由で普段からよく買物する居住者タイプです。スマホで来店予約・ピックアップ型のサービスで、三密を避けて販売することもスムースに移行することができるセグメントです。
gleasin(グリーシン)への無料登録で、全国の3,300か所の商業施設、93,000か所の様々な業種・業態の商圏分析を行うことができます。国勢調査や商業統計などの統計情報のほか、ライフスタイル・ライフステージのわかる居住者クラスターデータGeodemo®︎を使った商圏分析でベンチマーキングができます。
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