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リユース(中古)市場のブランド立地-コロナ禍に強い立地とは?-

作成者: 酒井 嘉昭|2021/05/17 3:15:00

競合の店舗立地をベンチマーキング(比較)することによって自社の成長戦略につなげることができます。店舗網拡大のヒントは、自社ブランドの得意立地と不得意立地を理解し、さらに指標となるブランド店舗の出店状況をベンチマークする方法が近道です。リユース(中古)市場の主要プレーヤーを例に立地ベンチマーキングの手法を学んでみましょう。

1.8兆円7%成長の注目マーケット

「中 古 市 場デ ー タブック 2018」(リサイクル通信)によれば、リユース(中古・リサイクル)市場の規模は、およそ1.8兆円で年7%の成長率です。最近の節約志向や、リサイクルショップで売却して、そのお金で最新流行の品を手に入れるスタイルはすっかり定着し、成長の著しい注目のマーケットです。

店舗型のリサイクル・リユーズマーケットは大きく3つのカテゴリに分類することができます。

  1. 衣料品や家電・家具までとりあつかう「総合型」(例:ハードオフ等)
  2. 本やDVD、ゲーム扱う「書籍・DVD・ゲーム」(例:ゲオ等)
  3. 貴金属・ブランド品・金券の買取を中心とした「ブランド系」(例:コメ兵等)

今回は、貴金属・ブランド品を扱う「ブランド系」の店舗網についてベンチマーキングしてみましょう。

コロナ禍で明暗 ターミナル駅 vs. 商店街

まず上場会社大手2社の公開されている財務諸表から店舗網の違いがコロナ禍によって業績にどのように影響したか見てみましょう。リユース業界の最大手のコメ兵HD(愛知県名古屋市)と「なんぼや」ブランドで知られるNO.2のバリュエンスホールディングス(東京都港区)を比較してみます。

年商575億円(2020年3月)のコメ兵HDは、日本国内63店舗を展開しています。「リユースデパート」を標榜する大型店舗は「買取と販売」の双方を提供しており、東京(新宿、銀座、池袋、青山、自由が丘)、名古屋(名駅)、大阪(心斎橋、梅田、あべの)、兵庫(神戸三宮)のターミナルを中心に出店しています。今回のコロナ禍で、自粛・在宅勤務や緊急事態宣言の影響で市街地中心部への流入が減った影響もあり、第3四半期(2020年12月)の売上はグループ全体でマイナス15.9%でした。

一方のバリュエンスホールディングス(東京都港区)は「なんぼや」のブランド名で全国117店舗に展開しています。売上規模は379億円(2020年8月)で、コロナ禍の影響のなかった2019年同期(377億)と比較して2億円の増収となっています。立地は駅の近くを中心に、ターミナル駅周辺から商店街、ショッピングセンターまでバラエティーに富んだ立地に「買取」専門店を展開しています。

コロナ禍前後での売上は微増です。コロナ禍対応としてネットでの買取サービスの強化をしつつ、郊外、商店街など足元需要の豊富な立地の店舗からの在庫を確保してネットで販売することによってトップラインを維持しています。様々な立地に分散させることによって、コロナ禍のような不況に強い店舗網を構築し、売上を安定させることに成功していると考えられます。

路面店vs.ショッピングセンター立地

国内300店舗以上の買取専門店を「大吉」のブランドで展開する株式会社エンパワー(東京都新宿区)と、80店舗以上展開する株式会社K-GOLDインターナショナル(静岡県浜松市)の「リサイクルキング」の2つのブランの立地の違いから顧客のイメージをみてみましょう。

どちらも買い取り専門店ですが、その出店傾向はそれぞれのブランドで異なります。「大吉」は路面店を中心に展開しているのに対して、「リサイクルキング」はショッピングセンターを中心に出店しています。gleasin(グリーシン)の商圏ベンチマーキング機能を使うと、それぞれのブランドがどんな顧客層の多い立地に出店しているか理解することができます。

サラリーマン世帯の多い「大吉」立地

以下が「大吉」が出店しているエリアに共通するライフスタイルデータGeodemoでみた商圏内の居住者イメージです。出店傾向が似てるブランドについてgleasinのデータベースで調べてみると、福岡県に本社を置くクリーニングの「きょくとう」が似た傾向がみられます。

Geodemo4「サラリーマンファミリー地区」とGeodemo5「メーカー勤務ファミリー地区」は核家族を中心とした給与所得者が多い郊外エリアになります。スーツ、ワイシャツ、ユニフォームなどクリーニング需要のある会社勤めの勤労世帯が多い立地に出店する傾向があります。この立地展開は「なんぼや」と共通するところがあります。

ただし、ローンで新築マンションや戸建てを買う傾向がある世帯が多く可処分所得や資産が少ない傾向がります。引っ越し、結婚、出産などの「ライフステージ」が変わるタイミングで放出される趣味やビジネスで使っていた時計・バッグなどのブランド品のリユース品が流通しやすい立地環境と言えるでしょう。

三世代ファミリーが多い「リサイクルキング」の立地

ショッピングセンターを中心に出店している「リサイクルキング」の商圏居住者タイプは、三世代で同居する世帯が多い立地Geodemo10.「農山村立地」、Geodemo7.「地方三世代地区」が多く居住するエリアに出店しているので、相続などに関連して処分される「宝飾品」などの買取が期待できる立地といえます。

ただし、ショッピングセンターの集客力に依存するため、今回のコロナ禍による自粛営業が施設全体に影響すると、休業・営業時間の短縮などで仕入れが滞り、機会ロスを招くリスクもあります。一方で、郊外のロードサイドに単独で出店するより集客力のあるショッピングセンターへ出店することによるメリットも大きいのも事実です。

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