店舗ネットワーク近年、チェーンストアやフランチャイズの業界でもAIが盛んに応用されるようになってきました。業界の最重要課題である店舗開発の際の売上予測にも、AIを構成する技術の一つである機械学習は大いに活躍しています。

本記事では機械学習の仕組みに簡単に触れたあと、機械学習で売上予測を実施する様々なメリットをご紹介します。

データからルールを見つける

そもそも機械学習とはどのようなものでしょうか?

実は一口に機械学習と言っても、様々なアルゴリズム(計算方法)が考案されており、状況に応じて使い分ける必要があります。本記事ではアルゴリズムについては触れませんが、共通して言えることはコンピュータが高速に大量の計算することで、与えられたデータからルールを見つけるということです。見つけたルールを応用することで、これまで出店したことのないエリアへの評価もできるようになります。

これは人間が経験から暗黙のうちに学習し、直感で判断できるようになるというプロセスに近いものです。アイディア自体は古くからありましたが、コンピュータの処理能力があがったことでビジネスの世界でも手軽に利用できるようになりました。

実際に機械学習で売上予測を実施するプロセスは以下のようになります。

  1. 「売上」に影響を与える「要因」を列挙する
  2. 「要因」を表現するデータを集める
  3. 機械学習で「要因」と「売上」の間のルールを見つける
  4. ルールを利用して、未知の「売上」を予測する
[参考]重回帰モデルと機械学習モデルの違い

AIはブラックボックスではない!モデル構築のプロセスから学習する

機械学習は「売上」と「要因」の複雑な関係性をモデル化してくれます。複雑な関係を表現しているので、人間がぱっと見て理解できる形にはなりません。これが、機械学習(AI)がブラックボックスと言われる所以です。

しかし、ふさわしいアルゴリズムを選択し、適切に可視化することで、それぞれの要因の売上への影響の大きさや影響の仕方を把握することは可能です。つまり、「売上に影響を与える主な要因はなにか?」、「その要因と売上にはどんな相関があるか?」を学習できるということです。これは、店舗開発担当者が知りたいと思う仮説を検証するのにとても強力なツールとなります。

これを応用すると、単純に「ここに出店すればいくらくらい売れるのか?」を知るほかに、「この既存店舗の売上を上げるためにはなにを変えればよいか?」の質問に応えることもできます。

機械学習による売上予測は「日本全国で年間1億円以上の売上が上がる立地を探す」ことも可能ですし、モデルの作り方次第で「坪効率を最大化する店舗規模は何坪か?」「どのようなMDの店舗を作るべきか?」「業態転換するならどの業態が最も良いか?」といった様々な問題に答えることができます。

機械学習で売上予測を実施する4つのメリット

エムディー社では過去に様々な売上予測プロジェクトを支援してきました。店舗開発に機械学習による売上予測を導入することで得られるメリットは大きく4つ挙げられます。

1.高精度な売上予測の実現

大量の計算を通じて複雑な関係性をモデル化していくため、ベテランの店舗開発担当者の勘と経験を凌駕する精度での予測が可能です。教育が難しいにも関わらず流動が激しく、人材不足となりがちな店舗開発担当者の強力なサポートとなります。

2.売上影響要因の可視化

前述の通り、モデル構築を通じて複雑な売上影響要因を可視化できるので、そこから店舗開発に関する数多くの学びを得ることができます。また、店舗開発の意思決定に際して、説得力のある根拠を提示することができます。

3.精神的負担の軽減

店舗開発には多額の投資が必要となるので、その意思決定には大きな精神的負担を伴います。機械学習で算出した売上予測は客観的な指標として使えるので、店舗開発担当者の精神的負担を軽減してくれます。

4.店舗開発・運営・商品部門間の意思疎通が円滑になる

様々な粒度での予測が可能なように、モデルを設計することが可能です。同じデータに基づいた結果を、各部門が利用しやすい形で表現していくことで、対立が起きがちな部門間の意思疎通が円滑になります。

このように機械学習による売上予測は単に開発候補地の選定に使えるだけでなく、様々な副次的なメリットがあります。また、既存店舗の売上があればプロジェクトは開始できるので、導入ハードルもそれほど高くありません。本記事で言及したような問題意識をお持ちの方は、導入を検討してみてはいかがでしょう?

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また、gleasinを活用して売上予測を実施し、大量出店の意思決定に活用している事例は、以下のブログを参照してみてください。

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