アンケートやポイントカードのデータを使うと、今すでに存在している需要を確度高く把握することができます。

一方、InstagramをはじめとするSNSの情報を利用することで、近未来の需要や「直接購入経験はないけど興味がある」といった願望について示唆に富んだ情報が得られることが、東京大学山崎研究室と私たちジオマーケティングとの共同研究で明らかになりました。

インスタグラムロゴ昨年12月に開催された「AIで商業施設とまちの魅力度を計測する」のセミナーシンポジウム(於:東京大学伊藤国際学術センター)にて当該研究の成果発表が行われましたのでその模様を交えながら、研究成果をご紹介します。

KFCのInstagramフォロワーの興味関心は?

キーノート「魅力工学でブランドの関係を理解する – KFC実証実験を交えて –」では、山崎俊彦准教授(東京大学大学院情報理工学系研究科)から実証実験の事例が報告されました。これは公式Instagramアカウントの「いいね」数を増やすことを目的としたKFCとの取り組みです。

シンポジウムの様子実証実験では、まず、KFC公式アカウントのフォロワー1,000名の投稿写真とハッシュタグを、他のブランド(様々なカテゴリを含む)のフォロワーと比較し、その違いや類似性からフォロワーの潜在的な嗜好性や世界観を可視化しました。

そして、その結果から得られた内容をもとにInstagramの掲載写真のテイストを大幅に変更したところ「いいね」数を大幅に増やすことに成功しました。

研究成果の詳細については、東京大学発表のプレスリリースをご参照ください。

アンケートからはわからない意外な関係性の発見

これまで生活者の需要を理解する方法としては、アンケート調査が一般的でした。しかし、アンケート調査では、回答者が自覚している内容を調べることはできても、無意識の欲求や潜在的なニーズについては調べることが困難でした

山崎准教授は「Instagramを分析することで、"まだ意識されていない"あるいは"言語化されていない"潜在需要を把握できることを明らかにできた。例えばスターバックスコーヒーと相性のよいブランドにコンバースがあることがわかったが、この組み合わせをアンケート調査で明らかにするのは難しい。」と指摘しています。

顧客インサイトを深掘りする手段として

SNSの分析は従来のアンケート調査やポイントカード分析を否定するものではなく、補完しあって利用するとより効果を発揮します。特に、分析初期の仮説設定のフェーズにおいて、SNS分析は有効と言えます。

SNS分析の主な活用分野として、以下の4つが挙げられます。

  • 競合ブランドとの比較
  • 親和性の高いブランドの発見
  • フォロワーのライフスタイルの理解
  • ブランド毎の世界観の違いの可視化
例えば、各ブランドのフォロワーの特徴や他ブランドとの相関関係を下記の図のように整理することができます。

the body shopとlushの比較

上の画像は、バス・ボディケア用品を取り扱う「THE BODY SHOP」と「LUSH」の比較です。「THE BODY SHOP」はナチュラルなライフスタイルを表すタグが特徴的で、コスメブランドや下着ブランドと相関が高くなってます。一方で、「LUSH」のタグには若々しい活発さやかわいらしさを志向する雰囲気が漂っており、相関が高いブランドもマッシュスタイルラボ系列のアパレルブランドが中心となっています。

これはわかりやすい例かもしれませんが、実際に大手アパレルメーカーにこれらの情報をお見せしたところ、「言語化が難しいニュアンスがユーザ視点で可視化されている」とのフィードバックをいただくことができました。

自施設・自ブランドの立ち位置を知るSNS分析

KFCの事例では、「社内で理解しているブランド像」と「消費者の抱いているブランド像」の乖離をなくすことが、Instagramの「いいね」数を増やすことにつながりました

自施設や自ブランドの特徴は、他との比較や関係性を通じて明らかになります。そして、明らかになったイメージをスタート地点とすることで、効果的なマーケティング活動を実施することができます。

SNSを運用されている方で、この観点での分析にご興味のある方はジオマーケティングにご相談ください。分析の目的に合わせて、プロジェクトの進め方や費用感などをご案内させていただきます。オンラインミーティングでのご相談も承りますので、下記よりお気軽にお申し込みください。

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