新型コロナウィルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が解除され、都内では街に賑わいが戻り始めてきました。一方で、自粛生活が働き方の見直しのきっかけになったという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、新型コロナ前後での働き方の変化に関するアンケートを題材に、ジオマーケティングが開発したジオデモグラフィックスデータであるGeodemo®️を使って少数のサンプルから全国の潜在需要を推計する手法により戦略マップを構築し、それを簡易的なダイレクトマーケティングに応用することができます。
新型コロナの働き方への影響は?
ジオマーケティングでは、株式会社バルクの協力のもと「アフターコロナ消費マインド調査」を実施しました。全国に緊急事態宣言が発令された最中の5月2日から6日の連休期間中に実施したWeb経由全国3000人へのアンケートです。
この中で4月の勤務状況について回答をもとめたところ、最も多かったのが「通常通り、勤め先に出社していた(時差通勤、在宅勤務は利用していない)」(1052人:36%)、次点が「在宅勤務が主で、基本的には出社をしていなかった」(316人:11%)となりました。
この結果は、あくまで3000サンプルの話なので、このデータから全国の傾向を計測することは困難です。しかし、このデータに「Geodemoで説明できる地域性がある」という仮説が成り立てば、Geodemoから全国を推計していくことが可能となります。
Geodemoグループ別のINDEXで仮説を検証
まずは、Geodemoと在宅勤務の傾向の関連を実際に検証してみましょう。アンケートの回答者には設問で居住地を質問していますので、回答者にGeodemoのグループ番号を割り振ることが可能です。
そして、 Geodemoごとに回答の構成比を算出します。今回の調査では「1.都心富裕層地区」の在宅勤務の構成比は約20%となりました。
このグループごとの構成比を全体の構成比で割り、100をかけた数字をINDEXと呼びます。この数字が100前後の場合は全体の構成比と同水準なので特徴的とは言えず、数字が大きい時や小さい時にグループに特徴が出ていると考えることができます。
在宅勤務の全体の構成比は約11%だったので、「1.都心富裕層地区」の在宅勤務のINDEXは約20%÷約11%×100で188と計算されました。これをGeodemoの各グループで計算した結果は下図のようになります。
この結果をみると明らかにGeodemo®️で説明できる地域性があるといえそうです。
念のため、意味を解釈してみると、在宅勤務のINDEXが120以上の地区は「1.都心富裕層地区」「2.富裕層ファミリー地区」「3.市街地単身地区」となっています。これらの3地区の居住者に共通しているのは、公共交通の発達した環境で情報通信業などに従事する住人が多い点です。GMOインターネットなどが早くから在宅勤務を取り入れたことがニュースになりましたが、これは肌感覚と一致しています。
Geodemo®️を使って全国を推計
Geodemo®️と在宅勤務の傾向に関連があることがわかりましたので、先ほどのGeodemoグループ別のINDEXを地図に落としてみると以下のようになります。
比較対象として、大阪都市圏で同様の地図を作成すると、以下のようになります。
比較すると大阪都市圏は在宅勤務率の高い地域がコンパクトにまとまって分布しています。政府が発令した緊急事態宣言は都道府県単位でしたが、同一都道府県でも、在宅勤務率の地域的な偏りを理解することできます。
潜在需要を可視化して戦略マップとして活用する
少ないサンプルをGeodemoと組み合わせることで全国に展開する仕組みを応用すると、簡易版ですがダイレクトマーケティングのための戦略マップを構築することができます。
たとえば、以下のようなステップで実現できます。
- ランダムに抽出したサンプルに対してテストマーケティングやアンケートを実施
- 反応率をGeodemoごとに取りまとめた上で、ターゲットとなるグループを設定
- ターゲットグループに対してダイレクトメールなどのマーケティング資源を集中的に投下
厳密なダイレクトマーケティングを実現するのは分析や運用のコストが大きくなりがちですが、ジオデモグラフィックスの導入であれば簡単にスタートすることが可能です。
これは会員組織や顧客データをお持ちのB2C企業様だけでなく、広告配布エリアの決定などにも応用が可能な考え方です。また、低コストで運用が可能なので、近年増加しているD2C業態のブランド様でも活用いただけます。
Geodemoは町丁目版のほか、郵便番号版も準備されていますので、活用を検討されている方はお気軽にご相談ください。