New Markets Concept - Green Pushpin on a Map Background with Selective Focus.人口減少やライフスタイルの多様化、コロナ禍に見られる環境の急激な変化への対応が店舗開発戦略の課題として議論されています。さらに、EコマースやSNSなどデジタルの顧客接点への対応が急務となっており、あらたな需要の発見と新業態開発に役立つ商圏分析が必要となっています。

商圏分析は、90年代に普及した地理情報システム(GIS)によって大きくデジタル化が進みました。しかし、集計された大量のデータを表示させるだけでは、現在直面している店舗開発の課題を解決することは困難になってきています。

本記事では、店舗開発のDX(デジタルトランスフォーメーション)をテーマに、これまでのボリュームやシェアを指標にした商圏分析に変わる商圏分析の手法をとりあげます。

商圏分析で"匂い"をかぎ分ける

コンサルタントとしてチェーン展開されている企業にお伺いすると、「この場所は自社ブランドの匂いがする」という表現をするベテラン店舗開発担当者にお会いすることがあります。いろいろな立地を見比べる経験の中で「この立地は、自社の成功した〇〇店と雰囲気がとてもよく似ている」という感覚を"匂いがする"と表現されているのでしょう。

このように"どこどこと似ている"という商圏分析の手法は「類似立地探索」と呼ばれますが、必ずしもベテラン店舗開発担当者に頼る必要はありません。機械学習を活用すると同じ匂いがする場所を日本全国から見つけることができます。

機械学習による類似立地探索には、国勢調査、経済センサス、商業統計などの統計データを使うのが一般的です。さらに、これらの統計データを加工し、直感的に理解しやすくした"要約データ"を利用することも増えてきています。現在の商圏分析では大量の数字を羅列するのでなく、直感的に理解しやすいように要約されたデータを利用するのが主流になってきています

ジオマーケティングが提供するGeodemo®️も要約データの一種です。年齢別人口や住宅の所有形態、世帯主の主たる職業など100を超える属性を元に、全国21万町丁目を分類したデータです。居住者のライフスタイル・ライフステージの違いが直感的に理解でき、まちの持つ雰囲気を把握することができます。

Geodemoダイジェスト【参考】消費者心理を読み解く商圏分析!ジオデモグラフィックスとは?

自社のビジネスが求められている場所を見つける

"学ぶ"の語源は"まねる"と言われていますが、店舗展開の上手なブランドを見本にして自社店舗を出店する手法は"パラサイト戦略"と呼ばれます

日本に上陸したばかりの海外ブランドはよくスターバックスの出店傾向を観察するといわれていますが、自社より先に店舗網を構築したブランドの成功立地をまねる手法は合理的といえます。自社の成功立地の特徴を、シナジーの高いブランドが出店している場所と関連付けるのは、シンプルでわかりやすい手法です

starbucksshopこの手法は既存の自社ビジネス以外に新規事業や新業態を立ち上げるときの出店戦略の立案にも有効です。例えば、「コロナ禍で在宅勤務が増えるにしたがって、レンタルオフィスの需要が増える」という仮説がある場合、どのような立地が可能性が高いのかを競合レンタルオフィスの出店傾向を観察しながら仮説立案し、類似の立地特性のある地点をピックアップすればよいことになります

この場所に求められているビジネスを見つける

類似立地探索の手法を応用することで、その場所に求められるビジネスを見つけることもできます。例えば、ある既存店のパフォーマンスが芳しくなく業態を転換したいとき、その店舗に類似する立地を検索してどのようなビジネスが成功しているかを観察すれば、業態転換のヒントを得ることができます

私が過去に携わった案件で、パフォーマンスが悪化してしまった洋食ファミリーレストラン業態の店舗がありました。オープンから20年が経過し、かつて子供の多かった地区は子供が巣立ったあとの夫婦のみの二人世帯が多くなってしまったことが原因です。このときは類似立地で成績のよい和食中心の業態への転換を示唆しました。

人口動態や競合の進出などビジネス環境は日々変化しており、出店や業態転換などの意思決定に求められるスピードはどんどん早くなってきています。そのようなスピード感のある意思決定はどのように行えばよいのでしょうか?

流動人口を使った商圏分析で急激な環境変化に備える

2020年10月は、5年に1度の国勢調査が実施されます。選挙区の策定や各種経済政策に利用される基礎データですが、伝統的な商圏分析もこの国勢調査をベースにしています。しかし、5年に1度のデータでは上記で述べたスピード感に対応するのは困難といえます

そこで、国勢調査を補うデータとして"流動人口データ"の活用が広がってきています。これはスマートフォンのGPS機能から取得される位置情報を個人が特定できないように加工したデータで、携帯キャリアの関連会社やスマホアプリの開発会社などが提供しています。

株式会社楽しいチリビジが提供する「あさひる統計®️」も流動人口データを加工したデータで、全国の125m四方のメッシュの滞在人口を3時間ごとに集計したものです。125mメッシュは、一般的な統計データで利用される500mメッシュの16倍の解像度となります。常に人が集まる駅周辺、平日に就労者が多いオフィス街、週末に人が集まる郊外型のショッピングセンター、季節変動の大きな観光地といった"まち"の様子や雰囲気を記述することができます。

あさひる統計を使ったビジュアライズ

【参考】リーシング手法のパラダイムシフト3-不確実性を味方につける流動人口データ活用

この流動人口データを活用すると、短期の人の流れの変化を商圏分析に取り込むことができます。ポップアップストアや季節変動のあるマーチャンダイジング戦略を立案することも可能です。

店舗開発のDXを実現するgleasin

ジオマーケティングが提供しているgleasin(グリーシン)は、店舗開発のDXを実現するプラットフォームです

これまでGISの利用やマーケットリサーチだけでは困難だった"自社ビジネスが成功する立地の発見"や"あたらしいビジネス立地の仮説の立案"など店舗開発に使える機能がコンパクトにまとまったWebサービスです。

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